.NET Frameworkで作成されたC++/CLIプロジェクトを.NET8.0に移植する方法

はじめに

C++/CLIは、.NET FrameworkとネイティブC++コードを橋渡しするために設計された言語です。しかし、.NETの進化に伴い、.NET Coreや最新の.NET(通称.NET 5以降)への移行が求められることが増えています。この記事では、.NET Frameworkで作成されたC++/CLIプロジェクトを最新の.NET8.0に移植するためのステップを詳しく解説します。

前提条件

・開発ツール:VisualStudio2022

・開発言語:C++

・フレームワーク:.NetFrameWork4.8

確認

最初に、.Net Coreにアップグレードすべきかを確認します。

対象のプロジェクトファイルのプロパティから「構成プロパティ」> 「詳細」を選択し、「共通言語ランタイムサポート」欄を見ます。

ここが「.NET Framework ランタイム サポート (/clr)」となっていたらアップグレードが必要なプロジェクトになります。

移植方法

 ①.vcxprojファイルを開く

対象となる.vcxprojファイルを開きます。

これはプロジェクトの設定ファイルであり、ビルドやコンパイルの設定が含まれています。

②プロパティ書き換え

<CLRSupport>true</CLRSupport>プロパティを<CLRSupport>NetCore</CLRSupport>に置き換えます。このプロパティは多くの場合、構成ごとのプロパティグループに含まれているため、複数の場所で置き換える必要があります。

また、<TargetFrameworkVersion>プロパティを<TargetFramework>net8.0</TargetFramework>に置き換えます。タグとその値の両方を必ず変更してください。

これにより、プロジェクトが.NET 8.0をターゲットとするようになります。

➂.NetFrameWork参照削除

プロジェクト内にある<Reference Include="System" />のような、System、System.Data、System.Windows.Forms、System.Xmlへの.NET Framework参照をすべて削除します。

例えば、以下のような参照を削除します。

<Reference Include="System" />
<Reference Include="System.Data" />
<Reference Include="System.Windows.Forms" />
<Reference Include="System.Xml" />

これらの参照は、.NET Coreまたは.NET 5以降では不要です。代わりに、必要なNuGetパッケージを追加することで、同様の機能を利用できます。

④API削除

プロジェクト内の.cppファイルやヘッダーファイルを見直し、.NET 8.0でサポートされていないAPIを削除または置き換えます。C++/CLIプロジェクトは通常、比較的薄い相互運用層であるため、多くの変更は必要ないことが多いですが、互換性のないAPIが使用されている場合は適切に対処してください。

確認

それぞれ設定したあとVisualStudioでプロジェクトファイルを開き、プロパティを確認します。

「詳細」より「.NETターゲットフレームワーク」が「.NET8.0」になっていれば完了です。

まとめ

C++/CLIプロジェクトを.NET Frameworkから.NET 8.0に移行するには、プロジェクトファイルの設定変更や不要な参照の削除、必要なNuGetパッケージの追加など、いくつかのステップを踏む必要があります。これにより、最新の.NETプラットフォームの機能を活用でき、パフォーマンスやセキュリティの向上が期待できます。この記事で紹介した手順に従い、移行をスムーズに進めてください。

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